淀川キビレマニアックス

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キビレの産卵は本当に秋なのか?

ベイトタックル・ルアーオンリーでのチヌキビレ年間1000枚達成して一息ついたので、久しぶりの生態考察です。

「キビレは秋産卵」が定説の淀川を中心とした阪神間のチニングシーン。
キビレの産卵は本当に秋なのでしょうか? 

 産卵落ちなんて存在しない! 

あくまで個人的な見解ですが…。
秋に【キビレの産卵落ち】と言われている現象は実は、ターンオーバーに起因する急激な生息環境の悪化に伴う食い渋りではないかと考えています。

※ターンオーバー = 季節が夏から秋に変わるころ、気温の変化によって冷たい空気により表層の水温が下層の水温より下がり、水中での上下の水が入れ替わること。表層の水温が低いため比重がまして表層水が下層へ沈み、相対的に暖かい底の水が浮き上がることによって、特定のエリアが酸欠状態になり魚の活性が下がる。


 卵巣・精巣、実際に見て言ってるの? 

産卵と言う以上、卵巣や精巣が大きく発達していることが大前提ですが、捌いた際に大きな卵巣や精巣を取り出したり、釣り上げた際に卵or精子を出す個体を確認したって話を聞いたこと無いんですよね。
ここ10年で数千と釣ってますけれど、確認しているのは『8月末・9月初旬にお腹パンパンの個体が増え、9月末・10月になると腹の凹んだキビレが目立つようになるという現象』のみ。

試しに膨らんだお腹や肛門を刺激してみたりしても一切出さないし、数枚キープしてお腹割いてみても発達した個体は皆無。


 プリ→アフターではないなら何? 

プリ→アフターではないなら何?ってはなしですが、

真夏の最高温期から水温低下で適水温になり、溶存酸素量も十二分に。
ベイトも豊富で活発に摂餌するようになる=晩夏に腹がふくれる。
→9月に入り、北風&降雨を引き金にしたターンオーバーが発生、喰わなく・喰えなくなる。
→貝殻等を含んだ宿便が全部出て切れ字気味&お腹凹む
 
と言う事ではないでしょうか?

8月末や9月始めに増水が無いと釣れなくなるのが早く、逆に増水があると長く釣れる事からも、溶存酸素量が「落ち」と言われる現象を左右しているのは間違い無いです。

特に淀川に関してはこれがかなり顕著です。

大堰の解放が無い淀川は大きなワンドといっても過言ではありません。
大して大きく動くわけでも無い、大阪湾奥の潮汐変化以外で水の動きがほとんど無い状態で熱せられていき、それがピークに達したタイミングで、季節変わりの北風と少量の雨が絡むと酸素量の減少を伴う強烈な水質変化が起こります。

泥みたいな物が浮かび上がり、キビレもスズキもボラも死体だらけになるアレです。

P09hh2149.jpg
淀川中流域で撮影。上下の水が入れ替わった際に浮き上がった泥

シジミは泥中深く潜って難を逃れるのか判りませんが、少なくともキビレがほじくり返して捕食できる層には居ないと思われます。
ゴロタ石等に付着しているミジ貝やイガイ等の二枚貝は落ちて死滅してしまうように見受けられます。

そして…逆に8月末・9月初旬に頻繁に大堰が解放されていて水量が安定している状況では酸素量の減少を伴う強烈な水質変化が起こりえないので長く釣れます。


 貝類(メインベイト)の死滅が最大の悪因 

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この画像は、淀川河口の酉島ゴロタ周辺で撮影した物ですが、落ちたミジが波打ち際に大量に打ち寄せられています。

下流ゴロタのキビレのメインベイトは、ゴロタ石に付着しているこの手の二枚貝。
下流ゴロタに魚影が濃い理由はまさにそこにあるのですが、これが落ちるとどうなるかは想像に難くないと思います。

これは貝類をメインベイトとしているキビレにとって致命的な変化と言っても良く、ただでさえ急激な環境変化に身体がついて行かないのに加えて、メインベイトまで死滅するという二重苦と向き合わなければならない。

これが秋の【キビレの産卵落ち】と言われる現象の真相では無いでしょうか。

(※淀川スズキがターンオーバーが起こってもすぐに釣れるのは、イナッコ等の水質悪化に強い魚がメインベイトだからと推察します。チヌも釣れますが、釣れる奴は決まって移動速度の速い回遊系ですね。この時期淀川で居付き系を釣った事無いです)

9月1発目のターンオーバーがキツイ年ほど一気に釣果が出なくなり、そうで無い年はダラダラ釣れる。
これが全てを物語っているのではないでしょうか。


 産卵落ちで春まで戻ってこない? 

これは真っ赤な嘘で、年中淀川で釣れます。
秋冬は春夏に比べ、水温が下がり透明度が増すためルアーを見切られやすいと言うだけで、水温10度以下でも余裕で釣れます。


 本当の産卵時期は? 

秋で無いなら阪神間のキビレは何時産卵してるのって話ですが、これはズバリ冬→春の変わり目です。
具体的には2月中旬から末にかけての大潮。

根拠はこの上なく明確。この時期のキビレはネットインしただけでピューピュー出るんですよね。卵や精子が。
あまり知られていないのは、単に冬にキビレ狙うルアーマンが少ないからでしょうね。

交雑を避ける為に秋(キビレ)と春(チヌ)で分かれていると言う節もありますが、同じ春でも1ヶ月以上違えば交雑は無いですよね。
両方春だけど、微妙にずれているラージマウスバスとスモールマウスバスの関係に近いと思っています。
(スモールが先でラージは後)


 産卵が釣果に与える影響は皆無 

ここまで書いておいてなんですが、地域性とかもあるでしょうし、秋も産卵する、もしくは年2回産卵って可能性もあります。
ただ、僕が産卵していると確信している春は産卵で釣れない空白期間が無いのです(ネスト作って子育てする種じゃ無いのでしょう)
故に(仮に秋産卵していたとしても)産卵が釣果に与える影響は皆無と言って良いと思います。


誰が言い出したか秋の釣れない=産卵落ち。

似た話で、淀川花火大会の爆音で釣れなくなるだの、増水で水温下がると釣れないとか、淀川はトップじゃ釣れないだの、秋に落ちたキビレはゴールデンウィークまで淀川に帰ってこないなんて今では冗談みたいな話が信じられていた時期もありましたよね。

釣れない=自分の場を見る目&技量の不足と思ってチャレンジし続けた先人の功績があって今のチニングシーンがあるのだと思います。
定説をそっくりそのまま真に受けるのでは無く参考程度に留め置いて、実際に場に立ち続けて、獲物と獲物を取り巻く自然環境を直接、目で見て肌で感じることが大切ですね。
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